2013/11/29

障害状態の決めかた。

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今日いただいたお電話でのご質問。

「ネットで二十歳前の病気の方が通りやすいって
聞いたんですが、本当ですかー?」

「ウソです」

「あー、ウソですかー、やっぱり」

二十歳前なら通りやすいって、聞いたことないな。

先天的な障害でも、今はガンガン支給停止されてるし、
不支給だって普通にある。

そりゃあ、障害というもの自体が
存在する理由を確認はしているだろう。
しかし要素の一つではあっても、
それで認定していないことは確かだ。

こういう時、正確に伝えたくなるのだけれど、
どうも今回は毛色が違う。

「二十歳より前にうつ病なら、今違ってもいいんですか?」

違う、と言われると単に病名が違うだけなら
もちろん可能性はあるはずだと思う。
でも前後の脈絡からすると、どうもそうじゃない。

「病名は違ってもいいですけど、今はもう◯歳ですよね?
今障害状態じゃないとそれは基本的にだめじゃないですか」

そうですよね、と言って電話は切れた。

当たり前だが、これは社会的治癒とかそういう問題じゃない。

でも同時にこういう時、いつも考える。
障害状態って誰が決めるんだろう。

特に精神障害で医療機関が「障害年金っていうのがあってね」
と話をしてくれるケースは少ない。

でも精神障害って明確な尺度がないから、
請求できるかの物差しを、通常請求する側は持っていない。
もちろん社労士になんかあるはずない。

つまりその辺りは医師次第、となってしまう。
そこであなたは該当しない、と言われたら、
「そうですか」って普通はなってしまうだろう。

社会保険という観点から見ると、
健康保険で傷病手当金というのがあるけれど、
例えばあれには医師が「労務不能」の証明をする。

でも傷病手当金の診断書を書かない、という医師は聞かない。
精神科医にとって、障害年金より傷病手当金の方が
記載するための心理的ハードルが低い気がする。

傷病手当金は一年半淡々と書いていたのに、
障害年金となると手のひらを返す、というのもままある。

ただ認定基準からすると、障害厚生年金三級とは
「労働に制限」なのだから、一部労務可能でも該当し、
完全労務不能である傷病手当金よりも本来は軽いはずだ。

そうすると傷病手当金には該当するが、
障害年金には該当しない、というのは理屈として無理がある。
それでも書きたがらない医師は多い。

これは、傷病手当金とはあくまで復職に期待した
一時的な手当であって、それが障害年金となると、
一気に福祉的な印象を医師が受けるからではないだろうか。

もし仮にそうだとすると、医師が躊躇する気持ちもわかる。
しかし、それは診断書を書かない理由にはならない。

そもそも診断書は福祉的な印象で、書く書かないを
左右する性質のものではないし、
福祉に対する考え方は医師によって異なる。

かかる医師によって社会保障を受けられるか変わるのは変だし、
考え方というのはあくまで私的なものであって、
それを理由に書く、書かないというのはプロ失格だ。

社会保障費が、というのも言いたいことはわかるが、
そういうことを言いたいならそういう職に就いてやるべきで、
医師が診察室で語るべきことは、社会保障や福祉じゃない。

とか言えたら、気分いいだろうなあ(笑)

実際はこんなこと言ったら元も子もなく、
「じゃあ好きなとこ行けば」と言われて終わりなので
それは依頼者に不利益が生じてしまい、
こちらがプロでなくなってしまう。

医師とケンカするようでは、
社労士としてそこまでということだ、と
ある社労士さんがおっしゃっていた。

確かに、至言だ。

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2013/11/28

突然のこと。

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今日の昼間、以前いた会社の後輩の訃報に接しました。

交通事故でした。まだ29歳です。
夜間、仕事で移動中だったと聞いています。

退職時の所属が同じで、FBでも繋がっていた後輩なので
とても信じられず、でも頭から離れず、
何をしてもどこか手に付かない感じです。

彼の明るく、好青年のイメージしか思い出せません。
皆、同じのようです。

最近太った、ということを書いていて、
「あー、それ同じだ笑」とか、
仕事がキツそうなことを書いていて、
腐らずやれよ、でも無理するな、とか、
そんな風に思っていたところでした。

よくグチっていたけど、仕事もきちんとした子でした。
何年も会っていませんが、印象強い子で、
誰からも好かれるタイプです。

ご家族、同僚のことを思うと胸が痛みます。

悲しい。

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2013/11/26

障害年金の社会的治癒は裁定請求段階でも認められるか。

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最近、社会的治癒に関する請求事例が多くなっています。

障害年金における病気の考え方というのは、
医学的なものとは必ずしも一致しません

例えば、うつ病を発症して一時期休んでいたものの、
治療の結果、改善されてまた働き始めたとします。
その5年後に、またうつ病で休むことになってしまいました。

この場合、医学的には「前のうつ病」と「後のうつ病」は
本質的には同じもの、または、そもそも精神疾患は
前後の傷病を明確に区別できないことの方が多いので、
精神科医として診断書を書くとすれば、
「うつ病で社会復帰したものの、5年後に再発し休職」のような
書き方になってくるのではないかと思います。

この書き方だと、どう見ても「前のうつ病」が
障害年金請求上の初診日に見えます。
しかし、実際の障害年金請求では必ずしもそうとは言えません。

前と後の疾患が医学的に同一、もしくは因果関係ある疾患でも、
そのように扱うことで請求者の利益が大きく損なわれる場合、
別個の疾患として取り扱うことがあります。
それが社会的治癒です。ただし要件がいくつかあります。

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*イメージです

この考え方は、多くの場合、医師にはご理解いただけません。

きちんと説明しても「いや、前と後ろの病気は同一だ」と言われます。
社会的治癒とは前述の通り、同一だからこそ生じる法理で、
そう扱わないのが社会的治癒です。

こうした場合、医師に修正を依頼することは不可能な方が多いので、
こちら側(当事務所)で対応することになります。

つまり「この期間は社会的治癒だと考えるので、
機構にはこのような認定を求める」ということをきちんと示します。

年金事務所の窓口はこれを受け付けない、ということはできません。
なぜならそれを認定するのは上位の部署であるからで、
実際、それをどう処理するかは窓口では判断しえないからです。

多くの場合、資料を十分に揃えて請求することができれば、
裁定請求段階でも社会的治癒として取り扱う認定を受けられます。
精神疾患はもちろん、内部疾患でも認定されています。

一度間違った請求をしてしまい、不支給となった処分へ
変更を求めていくのは、これよりも数段困難です。

障害年金請求は最初の請求がとても肝心です。

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カテゴリー: 障害年金。