2015/07/03

精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第5回)

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↓役に立ったら遠慮なくどうぞ。

昨日、「精神・知的障害に係る障害年金の認定の
地域差に関する専門家検討会(第5回)」を厚生労働省で傍聴してきました。

まず一番最初に思うことは、参加者である「専門家」の認定医は
地域差を埋める、という観点から議論を行っていない点です。

事務局が行おうとしていることははっきりしています。
例えば診断書の右側「日常生活能力の程度」と
左側「日常生活能力の判定」の平均値から、
ある程度の「目安(ガイドライン)」を作ろうというものです。

これについて認定医は裁量を広げるように主張しました。
具体的には事務局案の(4)で判定の平均値が2.5から4.0のものについても
3級の余地を残すように、との意見が出されました。

これは結果的に認定医に判断余地を大きく残すことになるもので、
これにより地域差が生じていることを全く認識していません。
まずすべきことは認定医の教育と意識改善であることが明らかです。

また、もう一つ強く違和感を持ったのは、以下の様な発言でした。

「統合失調症は守る必要性がある」
「知的障害は守る必要性がある」

「本来守るべき難治性の内因性うつ病の中に
 支給に値しない軽度のうつ病の請求が多く出されている」

「自殺企図を行うため身体拘束を受けるような入院患者は、
 予後も比較的良い」

ボクは、これは地域差を埋めるガイドラインの会議ではなく、
認定基準を改定する会議なのではないかと錯覚しました。

障害認定基準には明確に気分(感情)障害(F34)について、
1級の認定基準まで示されています。
しかし会議では認定医がこうした個人の考え方を示しているわけで、
図らずも認定に影響を及ぼしていることが明らかになりました。

そんな議論するなら帰って家でやるか、会議終わった後、
居酒屋かなんかでやってくれ、と思います。

だって認定基準には内因性うつ病がどうこうとか、
気分(感情)障害は1級になるほど重くない、
なんて一言も書いてないのですから。

認定医は、認定基準に沿って認定を行うべきであるのに、
最終的には個人の考え方を反映して認定を行い、
結局はそれが地域差を生むことになっているのです。

だから何度も言うように、ガイドラインなんか作ったって、
結局それを逸脱する認定を行うだけであって、
地域差なんて解消されるわけがなく、
まずは認定医の教育を行うべきなのです。

たとえば平成23年の障害認定基準(知的障害)改定時には、

市川宏伸  東京都立小児総合医療センター顧問
内山登紀夫 福島大学大学院人間発達文化研究科学校
      臨床心理学専攻教授
加我牧子  国立精神・神経医療研究センター
      精神保健研究所長
川崎葉子  むさしの小児発達クリニック院長
斉藤万比古 国立国際医療研究センター
      精神科部門診療部長

という方々が委員として認定基準の専門家会合を行いました。

この時に改定にあたった市川医師は、今回の第3回会合に
参考人として出席し意見を述べています。

今日、皆さんがおっしゃっている、働いている障害者の給料額の記入の問題というのがあります。前回の検討会のときも、なぜこれを書く必要があるかと、検討会の多くの委員が意見を出しました。そのときに厚労省の責任のある方が「これは障害者がもらっている給料が少ない、ということを示すための統計ですので、ご安心ください。」という発言をしました。私も座長として「厚労省がそう言っているのだから、皆さんご理解ください」と言ったことを覚えています。そのころから、当事者団体からは、大分心配の声が出ており、最近の状況は非常に残念に思います。恐らくそのときの検討会の委員たちは相当怒っているだろうと思います

認定基準を作った医師は、せっかく規定したことが
実際の認定に反映されておらず怒っている、ということです。

そもそもこの時の認定基準を作る際から地域差については指摘されています。

(○○委員) 地域差をすごく感じます。○○先生は東京なので東京はいいなと思いました。関東でも隣の県なのに、全く同じような状態の人が東京なら対象になるが、隣県だと対象にならないということが生じているように思います。現状の診断書は記述が難しい点があり、その辺りを改善する必要があると思います。(平成23年1月27日 専門家会合第1回議事録・この会合は発言者が非公開です)

地域差の懸念について、少なくともこの時点で
厚生労働省は把握していたはずです。
しかしなんら改善されないまま、
報道が出るまで放置されてきました。

またこの会合で年金機構から参加した認定医は驚くべきことに、
以下のように述べています。

(事務局・日本年金機構)私は日本年金機構で障害年金の障害等級を見ています。主に、内科、精神を見ていますが、知的障害や発達障害は少数ですが見ることはあります。このように障害の状態を1、2、3級と書いてありますが、実際に患者を見たことがないのでニュアンスが頭の中にわいてこないのです。(平成23年3月24日 専門家会合第3回議事録)

「見たことないで認定してるんかい!」
と、誰でも突っ込みたくなることはウケアイです。

はっきり言って、認定医にガイドラインを作らせるというのが無謀です。
なぜそのような発想になったのか理解に苦しみます。

認定基準を高名な先生が作ったんだけど、
難しすぎて現場の医師が簡単なのを作りましょ、という発想なので、
そんなので良いものができるわけがありません。

というわけで見守るのが辛くなってきましたが、
ここまで来たので最後まで見届けたいと思います。

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カテゴリー: 障害年金。

2015/07/02

7/2の電話相談は14時までとさせていただきます。

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↓膨張・・・傍聴してきます。

本日は、厚生労働省で行われる「精神・知的障害に係る
障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」を傍聴するため、
電話でのご相談を14時までとさせていただきます。

何卒、ご了承のほどよろしくお願いいたします。

内容については、後日障害ねんきんナビ及び
本ブログでご紹介いたします。

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カテゴリー: お知らせ

2015/06/30

再審査請求で処分取消。

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↓無事に取り消しとなりました。

5月に公開審理のあった再審査請求の結果が届きました。

結果は無事に受給権が発生、
厚生労働大臣の却下処分は取消となりました。

元々はご本人が行った厚生年金請求だったのですが、
初診日を年金機構が認めず却下処分となっていたものです。

結果的に年金が支給されない処分としては、
不支給(棄却)と却下処分があります。

たとえば、他の要件を満たすものの障害の程度が
障害認定基準に達しないものについては通常の不支給ですが、
厚生年金加入中の初診日を確認できない、などの理由の場合、
請求は却下とされます。

この場合はどんなに障害の程度が重くても、
年金は一切支給されません。

ただこうした安易な却下処分については
ボクは不当な処分であると考えています。

事実、障害厚生年金の請求には障害基礎年金の請求が含まれており、
厚生年金期間中の初診日が認められなくても、
障害基礎年金の初診日が認められるのであれば、
少なくともその分を支給しなければ請求者は保護されません。

こうしたケースであっても年金機構はほとんどのケースで
却下処分をして、障害基礎年金に切り替えることは稀です。

*こうした場合、少しでも早い支給を求める場合については
 代理人意見書などで申し立てをして障害基礎年金で決定させ、
 その後審査請求で争う、という形を取っています。

 ただここまで個人で行うのはまず無理だと思います。

今回のように却下になったケースについては、
審査請求へ進むか、再請求を行うこととなります。

今回は再審査請求で認められたため、
当初の請求日を活かすことができました。
再請求で事後重症請求に回れば、前回の請求日(の翌月)から、
事後重症請求の月までの分が支給されないこととなってしまいます。

先日ウチのスタッフが年金機構より、
再請求の場合は1年待たないと請求できない、と
窓口で説明を受けました。

もちろんウチのスタッフはそんな訳がないことを
知っていますから、何の問題もなく対応出来ましたが、
こうした不案内にもお気をつけ頂きたいと思います。

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カテゴリー: 障害年金。