今日いただいたお電話でのご質問。
「ネットで二十歳前の病気の方が通りやすいって
聞いたんですが、本当ですかー?」
「ウソです」
「あー、ウソですかー、やっぱり」
二十歳前なら通りやすいって、聞いたことないな。
先天的な障害でも、今はガンガン支給停止されてるし、
不支給だって普通にある。
そりゃあ、障害というもの自体が
存在する理由を確認はしているだろう。
しかし要素の一つではあっても、
それで認定していないことは確かだ。
こういう時、正確に伝えたくなるのだけれど、
どうも今回は毛色が違う。
「二十歳より前にうつ病なら、今違ってもいいんですか?」
違う、と言われると単に病名が違うだけなら
もちろん可能性はあるはずだと思う。
でも前後の脈絡からすると、どうもそうじゃない。
「病名は違ってもいいですけど、今はもう◯歳ですよね?
今障害状態じゃないとそれは基本的にだめじゃないですか」
そうですよね、と言って電話は切れた。
当たり前だが、これは社会的治癒とかそういう問題じゃない。
でも同時にこういう時、いつも考える。
障害状態って誰が決めるんだろう。
特に精神障害で医療機関が「障害年金っていうのがあってね」
と話をしてくれるケースは少ない。
でも精神障害って明確な尺度がないから、
請求できるかの物差しを、通常請求する側は持っていない。
もちろん社労士になんかあるはずない。
つまりその辺りは医師次第、となってしまう。
そこであなたは該当しない、と言われたら、
「そうですか」って普通はなってしまうだろう。
社会保険という観点から見ると、
健康保険で傷病手当金というのがあるけれど、
例えばあれには医師が「労務不能」の証明をする。
でも傷病手当金の診断書を書かない、という医師は聞かない。
精神科医にとって、障害年金より傷病手当金の方が
記載するための心理的ハードルが低い気がする。
傷病手当金は一年半淡々と書いていたのに、
障害年金となると手のひらを返す、というのもままある。
ただ認定基準からすると、障害厚生年金三級とは
「労働に制限」なのだから、一部労務可能でも該当し、
完全労務不能である傷病手当金よりも本来は軽いはずだ。
そうすると傷病手当金には該当するが、
障害年金には該当しない、というのは理屈として無理がある。
それでも書きたがらない医師は多い。
これは、傷病手当金とはあくまで復職に期待した
一時的な手当であって、それが障害年金となると、
一気に福祉的な印象を医師が受けるからではないだろうか。
もし仮にそうだとすると、医師が躊躇する気持ちもわかる。
しかし、それは診断書を書かない理由にはならない。
そもそも診断書は福祉的な印象で、書く書かないを
左右する性質のものではないし、
福祉に対する考え方は医師によって異なる。
かかる医師によって社会保障を受けられるか変わるのは変だし、
考え方というのはあくまで私的なものであって、
それを理由に書く、書かないというのはプロ失格だ。
社会保障費が、というのも言いたいことはわかるが、
そういうことを言いたいならそういう職に就いてやるべきで、
医師が診察室で語るべきことは、社会保障や福祉じゃない。
とか言えたら、気分いいだろうなあ(笑)
実際はこんなこと言ったら元も子もなく、
「じゃあ好きなとこ行けば」と言われて終わりなので
それは依頼者に不利益が生じてしまい、
こちらがプロでなくなってしまう。
医師とケンカするようでは、
社労士としてそこまでということだ、と
ある社労士さんがおっしゃっていた。
確かに、至言だ。