社労士試験おつかれさまでした
社会保険労務士試験の発表日でした。
基準と共に合格者が発表されましたね。
幅広く救済が入った割に合格率は5.4%・・・!
随分絞ってきましたね。不公平感もあると思いますが、
行政では試験に限らずあらゆる締め付けや制約が増えているので、
仕方ないのかな、とも思います。
対策は、記述式になる前に受かるしかないですね(汗)
ちなみにボクは平成20年の健保1点救済で救われてます(笑)
社労士試験とは、合格者の半数は会社員という特性があります。
総務や人事の方なども多いことでしょう。
合格者の方はこれから資格をどう活かしていくか、という選択があります。
その中にはもちろん「開業」という選択肢もあることでしょう。
そんな中で一開業社労士として、思うところを書いてみます。
軟離陸という開業
ボクは社労士試験に合格して5年、開業して4年目になります。
社労士の開業者も開業しない方も見てきたんですが、
感じるところを書きますと・・・
「いろいろ考えると開業できない」というのがあるようです。
個人的に言えば、家庭があって、家賃(もしくはローン)があって、
その不利ともいえる環境下で開業する方には、
特に頑張っていただきたいです。(ボクがそうだったので)
開業意欲がある方はいろんなセミナーに行かれると思います。
(ボクはほとんど行きませんでしたが・・・)
その中で、いわゆる「脱サラ」して食べていくこと(一応の成功)の
難しさというのを感じるんですよね。
そうすると自信がなくなって、もっと勉強しなくちゃ、と言って
更に実務セミナー、開業セミナーに出る、というサイクルに入ります。
こうするとお金も貯まりませんし、開業は遠のくわけです。
大体、スキルに自信があるので開業します、というのは無理です。
障害年金だけ見てもすごい人は本当にたくさんいますし、
またあらゆる審査請求、再審査請求を通せるわけではなく、
そんな自信が己の中から開業前に生じる、なんてことは
たぶんないと思います。
とすると、セミナー行脚はやっぱり悪循環ですよね。
あれこれ考えずにまず飛び込む(開業する)というのが、
実際は良いのではないかな、と思います。
これが等身大開業日誌でも言ってきた「軟離陸」という考え方で、
会社に属しながら(内緒で)開業する、という方法です。
*就業規則についてはご自身で確認くださいね。
ボクは兼業禁止がなかったのでサラっと兼業しました(笑)
規定があっても開業しましたけどね。
つまり平日は会社で仕事し、夜や土日は社労士業をするということです。
ただしこの開業方法にはデメリットもあります。
「軟離陸開業」のメリット・デメリット
まず、最大のメリットは「収入を維持できる」ということがあります。
これは固定支出がある方には大きな問題ですよね。
そこがケアできるのは超メリットで、これがほぼ全てですね。
また会社員としての収入があるので、社労士の収入は全て、
独立のための資金に回すことができます。
対してデメリットはいくつかあります。
まず「身体に悪い」(笑)
昼夜、土日なく働くので、これは意外にしんどいです。
ボクは11か月やったのですが、後半は結構疲れてましたね。
次に集客ルートが限られる。
ただしこれは、ボクはメリットに転換できると思います。
例えば飛び込み営業とか自力のポスティングとかは、
時間的にどうしても無理なわけです。(土日以外)
DM打っても、事務所に誰もいないし、
電話問い合わせに対応できる人がいません。
そうすると自然と「Web集客」に行きつきます。
Web集客であれば自然と問い合わせもWeb経由でとなりますし、
昼間でメールで問い合わせを受けても、夜返信することができます。
これが受電するようだと難しいんですね。
ですので、ステラコンサルティングは当初は電話は出ませんでした(笑)
ご依頼者には携帯をお伝えしてこちらへお願いします、
あとで折り返します、という形を取っていました。
ウチが電話に出るようになったのは移転して、
スタッフを雇用してからです。この話はみんなびっくりしますね(笑)
あとは、軟離陸では「ターゲット」が絞られます。
法人へのアプローチは平日でないと難しいからです。
そうすると「個人向け」の仕事を中心にするしかないかな、となります。
という形で絞っていって残ったのが「障害年金」でした。
ボクは人事総務の時に休職者対応もしていましたが、
どうしても障害年金をやりたかった、というわけではなくて、
こうした選択の結果、障害年金が残って始めたものです。
そして兼業期間中に仕組みを作って受任が増えていき、
そこから独立へとステップアップしました。
これなら仕組みができれば見込みが立つので、
脱サラのリスクは最小限にできます。
ただ障害年金って、やり始めると、
こんなに面白くて、深くて、感謝されて、やりがいや
意義のある仕事というのはないな、と感じました。
それで障害年金業務が大好きになりました。
大体、障害年金に本気で取り組む社労士のほとんどは、
めちゃくちゃ障害年金業務が好きですね。
みんな障害年金オタクで、マニアックな事例をたくさん持ってます。
それで朝まで語り明かせるくらい好きですね(笑)
ただ、ボクのころは障害年金というのはブルーオーシャンで、
需要も多少ありましたし競合がほとんどいませんでした。
今の市場は競合は増えましたが、それほど市場が拡大したとは言えません。
ですので、障害年金のみで独立するのはボクは難しいと思います。
障害年金と言う市場
たとえばGoogle Adwordsで広告出稿するとして、
キーワードプランナーで見ると「障害年金」という単価では、
検索ボリューム22200、推奨入札単価は57円です。
1クリック57円です。
あとはほとんどのキーワードが検索ボリューム5000未満で、
障害基礎年金では103円、病名入れると100円から200円です。
仮にコンバージョン率を1%(結構高め)とすると、
月間10の問い合わせを取るのに1000PVが必要となります。
つまりそのアクセス全てをCPCで獲得し、問い合わせ10件取るには
月10万前後の広告費がかかることになります。
もちろんこれは計算上の問い合わせ数なので、
実際には障害年金請求できない方や、相見積取る方もいらっしゃるでしょう。
半ばボランティアでやられてる方もいます。
そうした社労士に対抗できなければ受任はできません。
そうなればもっと効率は悪いはずです。
そもそも障害年金は超ニッチな市場なんですね。
これはやりがいとか興味とか好きとか嫌いとか関係なく、
事業として捉えるとどうか、という話です。
ですから、何百万とイニシャルを投下して、
充分な対価を得られるような市場ではないんです。
月間ボリュームが22200という事は1日につき全国で700回しか
検索されてない、元々そういう市場なんです。
SEOで一位取ると、クリック率が18%と言われています。
「障害年金」というキーワードで一位取って月間4000PVです。
しかし、PVが増えるほどコンバージョンは下がる傾向にあるので、
これで問い合わせが40件得られるということはあり得ません。
今、全国の社労士何百人が障害年金専門と謳っていて、
果たしてそこで今から参入してSEOで一位取れますかね・・・。
ちなみに今1位は「日本年金機構」です(笑)
もちろん、SEO業者に頼むのは論外です。
何位に表示されて、そのクリック率からクリック単価を計算すれば、
すぐに理由がわかります。
ちなみに障害ねんきんナビの月間ユーザーは20000、
PVは120000ページビューです。
これらの数値はもうそろそろ上限だと思っています。
ここから倍にできるほどの市場はないでしょうね。
開業を検討される方へ
つい、Web戦略ということで熱くなってしまいました・・・
ボクは元々、東証一部上場企業の営業企画出身なので、
こういうマーケティング的な話をするとうるさいです(笑)
ボクと前田法務事務所の前田さん(俗称:まえちん)は、同期開業です。
彼とは開業して知り合って、たまたま家が近所だったので
ジョナサンで昼間に二人で会ったんですが(笑)、
二人とも生き残れているのは偶然かもしれませんが、良かったと思います。
二人に共通しているのは「とりあえずやってみる」です。
ただ、共通してないのは「腰を据える」か「どんどんやってみるか」です。
ウチは障害年金で特化しましたが、事業の中でのスクラップアンドビルド、
ABテスト的なものは実はたくさんやっています。
そしてこれらは「実務」のスキルアップとは別の話です。
鶏と卵みたいなもので、どちらも並行しなければいけません。
だから士業はイニシャルはかからないのに、継続するのが難しいんです。
おわりに
「ま、社労士受かって人生変わるわけではないからね」
これはボクが試験後の再就職活動中に、
ある病院の医務課かなんかの面接を受けて、
そこの課長かなんかに言われた言葉です。
すごく嫌な気分でしたが、今会ったら言ってあげたいですね。
「それはあんたが変わらなかっただけだから」と(笑)
と言うわけで、ごちゃごちゃと偉そうに書いてしまいましたが、
本来は合格おめでとうございます!ということを言いたかったのでした。
またそのうち開業日誌セミナーなどやるかもしれませんので、
その際にお会いできれば大変うれしいです☆
とりあえずおめでとうござました!