↓それ、あんまりじゃね。
先日あったご相談で、「遡及分は3級で受給権発生した」
しかし「今後も3級とされているが、2級じゃないかと思う」
というケースがありました。
この件は以前に障害ねんきんナビで書いております。
障害年金の遡及請求とおちいりやすいパターン
以前はこうしたケースは問題なく、いわゆる私たちが「遡及3級事後2級」
と言うような形で認定が下りてきていました。
しかし、数年前から社会保険審査会でも
これを認めないケースがあります。
なぜかというと、
遡及請求する場合においては、ほとんどのケースで
事後重症請求(今後の分の請求)を一緒にしますが、
あくまでメイン(主位的請求)は
遡及分である障害認定日請求である、と。
事後重症請求は予備的請求であって、その発動は、
主位的請求が成就しなかったときに限られ、つまり・・・
「遡及が認定されたら、事後重症請求はなかったことになるよーん」
ということをある時から言い出しました。
まあ、言っていることはわかる。
しかし、請求日時点の障害状態も提出しているのであって、
もし「障害認定日で3級で請求日が支給停止」の場合は、
彼らは職権で等級を改定するわけです。
つまり請求日時点で支給停止します。
ということは、当然、事後重症分の障害状態というのは
診査しているのですから、請求日で落とすことはするけど、
「いや、2級にしろって請求されてないし」というのは
あまりの仕打ちではないかと思うわけです。
そこで対応策として、有志の社会保険労務士は、
「請求日時点で額改定請求をあわせてしておく」という
苦肉の対症療法を採ることとしました。
もちろん今までしてなかったわけですから、
そこに根拠などはありません。
受給権がない段階で額改定請求できるのか、という問題もあり、
実際に受け取りを拒否する年金事務所もありました。
全国で、多くはないでしょうが、
何人もの社労士が行ったことと思います。
もちろんボクも行い、額改定されるものもありました。
その結果、今では正式に認められている方法となっています。
ただ、年金機構の窓口担当者が知っているか、
と言われれば、必ずしもそんなことはありません。
一般の方がやろうとすれば怪訝な顔されるのがオチです。
失笑されたり、受け取り拒否もあるでしょう。
そしてそんな案内を年金機構側から
事前に受けるはずがありません。
ですからこのような相談があるわけです。
結論ですが、こうなってしまうと、
再審査請求まで行っても勝てないので、訴訟するしかないです。
だから遡及請求というのは、ますます個人の方の、
手の届くものではなくなってしまったという風に思います。
遡及したものの、今後の分が3級のままにされることで
不利益を同時に生じるケースがあります。