2015/07/16

障害年金制度は不平等です。公開審理に行ってきます。

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↓台風の影響を受けた方はクリック。

「あの人には障害年金が出て、同じ病気の私には出ない
(病名を理由に不支給)というのは不平等ではないでしょうか」

というご質問を最近いただきました。

その通りです。障害年金制度は不平等です。
もっと言えば年金制度自体、不平等です。

たとえば同じ病気で障害の程度が変わらなくても、
時代の変遷で少しずつ認定は変化します。
これは障害認定基準が変わっていなくても、です。

ボクが障害年金を始めた頃、当たり前に出ていたものが
今は支給されなくなっています。
これは認定基準の問題ではありません。

本来であれば障害年金は、保険料の問題、
そして障害の程度をクリアすれば、誰にでも受給権が発生します。

しかし「個別に認定している」という言葉で、
一般化することはできない、と社会保険審査会は言います。

行き当たりばったりでも、ある程度仕方ないよね。
「総合的に勘案すると」という魔法の言葉を使って、
棄却、という結論でいいよね。

・・・という制度です。

公開審理で参与は言います。
「この人には会社から賞与が出ているから障害年金は不要」

参与はご年配の方が多いのですが、
それ、当然あなたの老齢年金でも
同じこと言えるんですよね、と言いたい。

参与が障害年金制度を理解して言っていないのは明白です。
だってそういうルールじゃないんだもの。
ルール知ってたら「賞与出ていても年金は関係ない」
「現行の制度上、支給するべきだ」というはずだもの。

しかし出てくるのは・・・

「この方は相当恵まれた会社におられますねえ」
「障害年金は必要ないのではないのでしょうか」って、

おいおい、大丈夫か、と。

もちろんボクは不平等が良いと思っているわけではありませんし、
むしろボクたち現役世代は今後更に不平等になる側と思います。

ただ、少なくともボクが関わるご依頼者の方の請求は、
せめて平等な側に入って欲しいと思いますし、
当然、適切な受給権が発生して欲しいと思います。

しかし、不平等ではないでしょうか、という質問については
少なくとも今は不平等ですという回答になってしまいますね。
制度全体を変えられないことに心苦しくはあります。
それこそ今は「個別の認定」に努力するしかありません・・・。

・・・というわけで今日は公開審理に行ってきます。

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カテゴリー: 障害年金。

2015/07/09

ビジネスガイドに記事を書きました。

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今月発売の2014年8月号ビジネスガイド(日本法令)に
記事を書かせて頂きました。

障害年金を含む記事なのですが、障害が生じて一番困るのは
やはり生活費と就労の問題だと思います。

当事務所へご依頼頂く方はもちろん状況によりますが、
多くの方ができるならば社会復帰したいと思われています。

その時にも障害年金というのは活用できます。
障害年金と就労、そうした実例をいくつか見てきました。
事例を上げて書いています。

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カテゴリー: 障害年金。

2015/07/03

精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第5回)

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↓役に立ったら遠慮なくどうぞ。

昨日、「精神・知的障害に係る障害年金の認定の
地域差に関する専門家検討会(第5回)」を厚生労働省で傍聴してきました。

まず一番最初に思うことは、参加者である「専門家」の認定医は
地域差を埋める、という観点から議論を行っていない点です。

事務局が行おうとしていることははっきりしています。
例えば診断書の右側「日常生活能力の程度」と
左側「日常生活能力の判定」の平均値から、
ある程度の「目安(ガイドライン)」を作ろうというものです。

これについて認定医は裁量を広げるように主張しました。
具体的には事務局案の(4)で判定の平均値が2.5から4.0のものについても
3級の余地を残すように、との意見が出されました。

これは結果的に認定医に判断余地を大きく残すことになるもので、
これにより地域差が生じていることを全く認識していません。
まずすべきことは認定医の教育と意識改善であることが明らかです。

また、もう一つ強く違和感を持ったのは、以下の様な発言でした。

「統合失調症は守る必要性がある」
「知的障害は守る必要性がある」

「本来守るべき難治性の内因性うつ病の中に
 支給に値しない軽度のうつ病の請求が多く出されている」

「自殺企図を行うため身体拘束を受けるような入院患者は、
 予後も比較的良い」

ボクは、これは地域差を埋めるガイドラインの会議ではなく、
認定基準を改定する会議なのではないかと錯覚しました。

障害認定基準には明確に気分(感情)障害(F34)について、
1級の認定基準まで示されています。
しかし会議では認定医がこうした個人の考え方を示しているわけで、
図らずも認定に影響を及ぼしていることが明らかになりました。

そんな議論するなら帰って家でやるか、会議終わった後、
居酒屋かなんかでやってくれ、と思います。

だって認定基準には内因性うつ病がどうこうとか、
気分(感情)障害は1級になるほど重くない、
なんて一言も書いてないのですから。

認定医は、認定基準に沿って認定を行うべきであるのに、
最終的には個人の考え方を反映して認定を行い、
結局はそれが地域差を生むことになっているのです。

だから何度も言うように、ガイドラインなんか作ったって、
結局それを逸脱する認定を行うだけであって、
地域差なんて解消されるわけがなく、
まずは認定医の教育を行うべきなのです。

たとえば平成23年の障害認定基準(知的障害)改定時には、

市川宏伸  東京都立小児総合医療センター顧問
内山登紀夫 福島大学大学院人間発達文化研究科学校
      臨床心理学専攻教授
加我牧子  国立精神・神経医療研究センター
      精神保健研究所長
川崎葉子  むさしの小児発達クリニック院長
斉藤万比古 国立国際医療研究センター
      精神科部門診療部長

という方々が委員として認定基準の専門家会合を行いました。

この時に改定にあたった市川医師は、今回の第3回会合に
参考人として出席し意見を述べています。

今日、皆さんがおっしゃっている、働いている障害者の給料額の記入の問題というのがあります。前回の検討会のときも、なぜこれを書く必要があるかと、検討会の多くの委員が意見を出しました。そのときに厚労省の責任のある方が「これは障害者がもらっている給料が少ない、ということを示すための統計ですので、ご安心ください。」という発言をしました。私も座長として「厚労省がそう言っているのだから、皆さんご理解ください」と言ったことを覚えています。そのころから、当事者団体からは、大分心配の声が出ており、最近の状況は非常に残念に思います。恐らくそのときの検討会の委員たちは相当怒っているだろうと思います

認定基準を作った医師は、せっかく規定したことが
実際の認定に反映されておらず怒っている、ということです。

そもそもこの時の認定基準を作る際から地域差については指摘されています。

(○○委員) 地域差をすごく感じます。○○先生は東京なので東京はいいなと思いました。関東でも隣の県なのに、全く同じような状態の人が東京なら対象になるが、隣県だと対象にならないということが生じているように思います。現状の診断書は記述が難しい点があり、その辺りを改善する必要があると思います。(平成23年1月27日 専門家会合第1回議事録・この会合は発言者が非公開です)

地域差の懸念について、少なくともこの時点で
厚生労働省は把握していたはずです。
しかしなんら改善されないまま、
報道が出るまで放置されてきました。

またこの会合で年金機構から参加した認定医は驚くべきことに、
以下のように述べています。

(事務局・日本年金機構)私は日本年金機構で障害年金の障害等級を見ています。主に、内科、精神を見ていますが、知的障害や発達障害は少数ですが見ることはあります。このように障害の状態を1、2、3級と書いてありますが、実際に患者を見たことがないのでニュアンスが頭の中にわいてこないのです。(平成23年3月24日 専門家会合第3回議事録)

「見たことないで認定してるんかい!」
と、誰でも突っ込みたくなることはウケアイです。

はっきり言って、認定医にガイドラインを作らせるというのが無謀です。
なぜそのような発想になったのか理解に苦しみます。

認定基準を高名な先生が作ったんだけど、
難しすぎて現場の医師が簡単なのを作りましょ、という発想なので、
そんなので良いものができるわけがありません。

というわけで見守るのが辛くなってきましたが、
ここまで来たので最後まで見届けたいと思います。

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カテゴリー: 障害年金。